プレイレポ: スピンオフ拡張パック Arma 3 Contact

地球上で外宇宙生命体と遭遇をテーマにした Arma 3 の新たな拡張パック「Contact」

人類とエイリアンの遭遇という、これまでのリアリスティックな軍事物というテーマから離れた Arma 3 のスピンオフ拡張パック Contact が発売されたので、若干レビュー風なプレイレポをします。今回はキャンペーン「First Contact」とマップ「リヴォニア」、そして大量のサンドボックス向けアセットが実装されるのが特徴です。なおネタバレがあります。

Arma 3 Contact - Launch Trailer - YouTube

Contact はスピンオフと銘打っているように 人類が突然、地球上で外宇宙生命体と遭遇したとしたら――?という設定になっており、リヴォニアでエイリアンと遭遇をテーマにした拡張パックとなっていて、エイリアンの目的とそれに反応する人類の混乱を下っ端の兵士として体験できるキャンペーン「First Contact」と、新マップ「リヴォニア」、そして大量の無料アセットから成り立っています。SF に微塵も興味がありませんが購入してみました。

なおキャンペーン名ですが「First Contact」だったり、ゲーム内の説明では「第一次接触」、一方で「ファースト コンタクト」と、どれが正しいのか分からないので「First Contact」に統一します。

キャンペーン「First Contact」

Arma3: Contactのプレイレポ
手取り足取り教えてくれる

キャンペーンでプレイヤーである主人公は NATO 軍ドローンオペレーターとして展開していて、初っ端から始まる演習中にスペクトラム装置の使い方を教えてくれるチュートリアルを兼ねた導入部や、誤爆から始まるきっかけ、そしてファーストコンタクトと、ストーリーの主題部分へ流れるように話を持っていく組み立ては、かなり没入感があり SF は興味がない人でもその先が気になるような、キャンペーンでの世界観にガッツリと引き込むような組み立てです。

Arma3: Contactのプレイレポ
効果音も極まって一気に登場

そしてドラマチックな宇宙船の登場は SF に興味がない自分でも心が揺さぶられるほど。ついになぜ彼らが現れ、地中から見つかった物は何なのかというストーリーが始まります。道中ではミニ UGV を使った調査は、スペクトラム装置と同じく新たなゲーム メカニズムを実装していて、非常に面白いです。またスペクトラム装置を使用した宇宙船との交信もできるようになっており、ただ情報を探し回るだけでなくパズル的な要素を組み込んでいるのは新鮮味を感じます。

Arma3: Contactのプレイレポ
すぐそばを LDF が通り過ぎて行く

宇宙船との交信ができるようになり、彼らがなぜ現れたのか少しづつ分かるようになっていくものの、人類は状況に対応できず、統率で保たれていた崩れかけの平静が崩れ混乱が始まっていきます。

もはや何のために銃撃が行われているか分からないのに加えて、深夜の森林内、そして霧が立ち込めているという状況、混乱の始まりを彷彿とさせる BGM は非常に緊張感があり状況が混乱状態へと変化していく様子が手に取れます。

Arma3: Contactのプレイレポ
ネット スイッチ

ついに主人公らのグループは NATO からの離脱者となり、リヴォニア国防軍に追われながら、ミッションの制限に囚われずどこにでも自由に行けるオープンスタイルで宇宙船とルート (根) を探りに行きます。ここからはスペクトラム装置をフルに活用。リヴォニア国防軍の会話を盗み聞きし、また司令部になりすまして動きを操作していく (電子欺瞞) を行い動いていきます。

ただ無線が敵の手や市民の手に渡ったと司令部のグレイウルフに判断されると、無線を聞いている全コールサインがネット スイッチを行い、通信から部外者を締め出すというリアリスティックさもあります。ヒントで若干触れられていましたが、司令部と対象部隊の直線上に入った状態で電子欺瞞を行うと、バレてしまうようです。

なおここからの基本的なタスクは情報収集で、プレイヤーはマップをどの様に動いても問題はありません。しかし基本的にはステルス、つまり隠密を想定しているようで増援やパトロール、守備部隊といちいち交戦してらんないほど。また森林内を動くので基本的に徒歩 (車両で森林を爆走してもよいのですが、物理演算を信用していないのでおそらく爆発し、またやり直ししなければならないのを避けました) になってしまい、長い時では 2km 以上を歩いていくのを最初は構いませんが、慣れてくると本当につまらないです。

ただどんどん交戦し、全てを排除する積極的なゲームプレイでも問題なくクリアはできるようです。個人的にシングルプレイヤーで嫌いなものはステルス、謎解きゲーム、そして移動で、これらが中心となっているこのキャンペーンは若干プレイ意欲が薄れてきます。もうツライ。

Arma3: Contactのプレイレポ
冒頭でも触れられた放棄されたトラック

オープンスタイルなのでどのように接近するかだったり、もっと装備を回収すると言った行動をじっくり選べるようになっています。例えば "要所" とマークされた場所には特殊部隊用の装備が落ちていたり、何も地図には記載されていない場所に事故の後で死体が散乱しているなど、各地に点在する混乱の後などを見回っていけるようになっていて、もっと深く見回ればじっくりとキャンペーンを楽しめるはずです。このあたりは拡張パック Apex 所有者向けに配布される、ボーナス DLC「Old man」に向けた実験も兼ねてるのかなと思いました。

Arma3: Contactのプレイレポ
宇宙船との触れ合い

話しを進めて行くと、これまでドローンや無線通信に使ってきたスペクトラム装置ですが、宇宙船との交信にも必要で、"ある一定のパターンもしくはシーケンス" を出している宇宙船からの通信に呼応し、周波数に応じて音を送り返すという謎解きが始まります。これは宇宙船の母船以外の周波数で送られてくる電波を順に選んでいくというもので、仕組み自体は Contact ならではだと思いますが、全くパターンもしくはシーケンスがわからず、当てずっぽうにしていくのが退屈極まりません。またセーブを読み込むと順序が変わっているようです。ちなみにこの作業は、宇宙船が出している白いパルス内でなければ効果はありません。

Arma3: Contactのプレイレポ
たまに中身が消えるので再ロードする必要があった

そんなこんなでどうやらエイリアンは地中に眠るルートを通じて活動していることが分かり、そしてそれはニュートリノ流出機を使い解析可能であることが分かりました。謎のヘリコプターから回収した流出機をミニ UGV に取り付け、ニュートリノの濃度が最も濃厚な所を探し出しルートの先端部分から物質を回収します。この間もずっとステルスです。

なお先端が露出している場所は宇宙船がパルスを出していて近づけません。そこで装置を使い動きを止めるのですが、その作業が非常に難しいです。ゲームメカニズムとしては面白いのですがパターンが全く読み取れず、解除に一苦労します。

Arma3: Contactのプレイレポ
最後の難関

その後も電力が回復したと言われ、アンテナ施設に向かうと再び宇宙船に謎解きを行って、彼らの意図を汲み取ります。おそらくキャンペーン内で最も複雑で時間のかかる謎解きでした。

これまでの出来事とフラッシュバックで判明したことは、彼らはルートを集めてコアを形成させているということ。そしてリヴォニア国防軍はそれに猛攻撃を加えようとしていること。更に、コアは脆弱で攻撃を受けると大規模な爆発が起こってしまうこと。最後にロシア軍特殊部隊と NATO 軍が共同し、リヴォニア国防軍の暴走を止めなければいけないということです。

Arma3: Contactのプレイレポ
決まってますね

最終ミッションでは特殊部隊と協力し、コアに攻撃を仕掛けるリヴォニア国防軍を全て排除します。3 つの AT ランチャーが攻撃に使われているので、全て壊さなければいけません。スペクトラム装置を使ってランチャーを無力化できるようですが、突撃してすべて壊すほうが早いのでそうしました。最終的にコアへ近づき、根本へ仕掛けられている爆薬を解除した後、リヴォニア国防軍の反攻から防衛します。

Arma3: Contactのプレイレポ
お迎え到着

なんとかロシア軍の援助を受け、コアの防衛に成功をしましたが、回収された物質はロシア軍の手に渡り、モスクワへ送られたようです。アメリカ人は何もできなくなりました。クレジットではその後の FM 放送が流れ、物質を巡った動きやその後の動きも説明されています。以上でキャンペーンが終わります。

キャンペーンはストーリー主題で映画のような雰囲気を感じ取れる作り。ストーリーはやや直線的で、回り道がなければすぐに終わる程度ですが、ボイスラインや会話を聞いている内に主人公への没入感を得られたのは良かったです。新たなゲームプレイとメカニズムはこれまでの Arma でも無かったような出来上がりで、ちらほらとイースターエッグも隠されていることから Arma プレイヤーなら確実に楽しめると思います。ただオープンスタイルであるがゆえに、移動が長い部分も見受けられ興冷めする所もありますが、全体的にそれを覆すディテールや現実的な設定、深夜を青白い月明かりの中、幻想的な森林を進んだり、何かあるごとに変化をする BGM など全体的な完成度は高いと感じられます。

ただし処理が最適化されておらず、フレームレートがそこまで出ない点や宇宙船に攻撃する戦闘機が、宇宙船に激突して爆発したり、合流地点に車で乗り付けるとカットシーンで身動きが取れなくなりミッションが進まなくなったり、 "いや、なんでだよ" という感情が出るほど理不尽なバグが多く目につきます。さらに日本語も若干の誤訳とバグで表示されないのがあるのが残念。

最も気になった点は、どこどこから何を取れというタスクが分かりにくいことです。箱の中にあるからと言われても、暗くてどの箱にあるか分かりにくくて困りました。またスペクトラム装置の使い方もゲーム内ヒントと無線通信で同時に出てきて情報量が多く、ヘルプの出し方を知っているなどゲームに慣れていないと難しい気がします。ミニ UGV もヒントにある説明文とゲーム内で言われていることが違っていて、前に動かせと言われているのに、ヒントでは横に動かす方法と記載されていて、混乱を招くでしょう。ちなみにスペクトラム装置でメニューを出す方法は F キー長押しで、ミニ UGV のアームを前後に動かすには Page UP/Down です。

新マップ「リヴォニア」

地球上で外宇宙生命体と遭遇をテーマにした Arma 3 の新たな拡張パック「Contact」

新たに追加された新マップはチェコ東南部をベースにした森林マップで、広さは 163 平方キロメートルあります。北側には東西を横切る小川が流れ、丘陵に農耕地が並んでいますが、南側は原生林で覆われ見通しが悪くなっています。マップはロシアの飛び地カリーニングラードと本土に挟まれていて、ロシアが西への侵攻時には通り道となるため、いくつもの掩体が並び、地理的な不安定要素を感じさせます。

また全くの新しい建造物に加えて、Arma シリーズから移植されてきた建物も多く、数え切れないほどあります。そして街はおそらくこれまでで最も高いディテールを持ち、鬱蒼とする森林の雰囲気など含めて、完成度は最高レベルです。

キャラクター用装備

地球上で外宇宙生命体と遭遇をテーマにした Arma 3 の新たな拡張パック「Contact」 地球上で外宇宙生命体と遭遇をテーマにした Arma 3 の新たな拡張パック「Contact」
リヴォニア国防軍 ロシアのスペツナズ

キャンペーンに欠かせない 2 つの勢力としてリヴォニア国防軍とロシア軍スペツナズを実装。リヴォニア国防軍は森林迷彩で以外と高性能な装備を身に着けており、新たな戦闘服やプレート キャリア、さらに「スパルタンチョップス」という、頭部全体を保護できるような新たなヘルメットを装備しています。

スペツナズは特殊部隊が身につけるような戦闘服、強く丸形の印象を受ける交代、サイドアーム ホルスターを構えたチェストリグを身に着けていて、特殊部隊を強く意識していていいですね。

地球上で外宇宙生命体と遭遇をテーマにした Arma 3 の新たな拡張パック「Contact」 地球上で外宇宙生命体と遭遇をテーマにした Arma 3 の新たな拡張パック「Contact」
ガスマスク アルミホイルの帽子

プレミアム装備として CBRN、化学 (chemical)・生物 (biological)・放射性物質 (radiological)・核 (nuclear) に対応するオーバースーツの防護スーツや空気浄化装置付きフェイスマスク、無線機バックパック、電磁スペクトラム装置は雰囲気ですが追加されており、電子戦や汚染環境下を想定した装備があるのは嬉しいところ。

武器 5 つ

地球上で外宇宙生命体と遭遇をテーマにした Arma 3 の新たな拡張パック「Contact」
Promet

プレミアム武器として、リヴォニア国防軍に実銃の VHS-2 と MSBS をベースとした Promet アサルトライフルを追加。口径は 6.5x39 mm NATO を使用するモジュラー式のブルパップ ライフルで、キャリー ハンドルを兼用した内蔵照準器を搭載できたり、グレード ランチャーや Arma 3 としては初めてとなるショットガンを取り付けた仕様もあります。精度は MX より高く SPAR-16 と同程度、更に反動も強くなく連射をしても反動管理が容易ですが、再装填に時間がかかってしまうのが欠点です。

地球上で外宇宙生命体と遭遇をテーマにした Arma 3 の新たな拡張パック「Contact」 地球上で外宇宙生命体と遭遇をテーマにした Arma 3 の新たな拡張パック「Contact」
RPK-12 AKU-12

ロシア軍スペツナズには既存の AK-12 の派生型となる RPK-12 軽機関銃と AKU-12 カービンを追加。RPK-12 は AK-12 に75 連ドラム型弾倉、延長銃身、改良型ストック、フォアグリップを追加した仕様。ただし重量があり、また装弾数も多くなく、軽機関銃としては最も能力が低いのが欠点です。AKU-12 は短縮銃身、専用のマズルブレーキを装着した仕様で重量が軽めですが、他の銃より精度が少し劣ります。2 つともスペツナズでの使用が想定されているようです。

地球上で外宇宙生命体と遭遇をテーマにした Arma 3 の新たな拡張パック「Contact」 地球上で外宇宙生命体と遭遇をテーマにした Arma 3 の新たな拡張パック「Contact」
M14 Classic Kozlice 12G

なお民間人向けに、狩猟用ライフルとして単射、ウォールナット材銃床の民間版 Mk14、そして従来型の中折れ式 12 ゲージ散弾銃、Kozlice を通常型とソードオフ型と一緒に追加しています。

地球上で外宇宙生命体と遭遇をテーマにした Arma 3 の新たな拡張パック「Contact」

最後に車両となりますがミニ UGV は確かにユニークで、キャンペーンでもずっと背負っている必要があったり、アームを使った操作など注目コンテンツですが、農業用トラクターのおまけ感が凄いです。それにオフロードの新しい仕様を除くとリヴォニア国防軍が持つ車両は見た目の変更のみに留めていますし。

Arma 3 Contact - Sandbox Trailer - YouTube

なお Contact はキャンペーンやエイリアンを同梱している Contact DLC (任意 DLC) と、リヴォニアや装備といったアセットを同梱している Contact プラットフォームの 2 つに分割されており、通常のシングルプレイヤーやマルチプレイヤーをプレイするなら、Contact DLC (任意 DLC) を読み込まずにプレイしなければ、バーチャル武器庫からプリセットを呼び出せないバグが起きたり、マップ画面が変更され通常のプレイが困難になります。なので Contact のキャンペーンをプレイする時だけ、Contact DLC (任意 DLC) を読み込む必要があります。

まとめ

地球上で外宇宙生命体と遭遇をテーマにした Arma 3 の新たな拡張パック「Contact」

結論として外伝拡張パックとあるとおり毎日 Arma で遊ぶような人、そして SF 作品が好きな人には購入をおすすめできますが、そこまでという人にはおすすめできません。しかしキャンペーンのゲームプレイは溢れんばかりのクリエイティビティを感じ取れ、これまでとは一線を画する価値あるものとなっており、またリヴォニアや CBRN 装備と除染設備といった新たな武器、大量の雰囲気オブジェクトといったアセットは歩兵にフォーカスしたゲームであって、ぜひミッションなどで使いたい気持ちが湧いて出てきます。

ただストーリーが SF に偏り Arma 世界とは若干道筋が異なること、さらに極めつけはバグが多すぎます。新しい実績も無く、低いパフォーマンスなどなど少ない開発リソースの中、リリースに向けてなんとかプレイできるようにしているキャンペーンの完成度を見るに、現時点ではおすすめするのに少し躊躇してしまいます。正直言ってキャンペーンのことを考えると 60% ぐらいの気持ちで購入を勧めます。

実はサマーセールで安くなってない

Steam のセール時に Contact バンドルを買えば、既に Arma 3 を持っていても Contact 単体より安く購入できるので、今の所それが一番いいのかもしれません。なお BI にふるさと納税をしたい人は、Paypal も使える Bohemia 公式ストアで購入すると、全額が BI へ入るのでそちらをおすすめします。

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